オランダ人はケチだ!
節約という習慣はいいことだと思うが、吝嗇とはいかなるものかと思う。オランダ人の友達はよくおごってくれたり、多く支払ってくれたり金銭面で寛容であったが、オランダ人家族と住まいを共有することによって彼らの吝嗇を痛感するようになった。

引っ越した直後、大学の課題に取り組まなくてはいけなかった。ある日深夜1時まで掛かり、寝ようと思って居間を出ると廊下の電気が消されていた。翌日、
「廊下の電気は消してよかったかな?」
と。消せという気の利かない婉曲表現であった。私は課題がどうしても深夜まで終わらないことを強調し、自分で電気を消すことを宣言した。ここまでならばまだ普通と言える。

最も笑えたのは洗濯機をめぐる一件だった。月7万円以上も払っているのに、日本で10年前に絶滅したような遅れたモデルの洗濯機を大家一家と共有させられていた。しかも、置き場所は3階の私の台所。
引っ越した翌日、日本から友達が遊びにやって来た。彼女は毎日この洗濯機を使っていた。すると、友達が出掛けている時に奥さんがやって来て、
「お友達は帰ったの?」
「まだあと1週間いる予定ですが。」
「そうなの。英語が全く話せないのに、大変でしょうね。」
と。明らかに早く帰れと皮肉を言っている。
「それで、洗濯機のことで話があるんだけど。オランダではね、電気代が本当に高いのよ。でも平日の夜11時以降と休日は安くなるの。私たちはいつも休日に溜めて洗っているから、あなたも協力してくれない?」

築100年のぼろ家にきちんと家賃を払っているのに随分失礼な話だ。家賃は電気、水道、ガス台すべて込みなので、できる限り出費を抑えて利益を増やしたいという魂胆だろう。頭に来たが、素直に従って余計なことは言わずに、一家が寝静まる毎晩11時に洗濯機を作動させることにした。すると、ある日帰宅すると置手紙があった。
「カティアへ。近所から苦情が出た。今後夜間に洗濯機は使わないこと。」
ざまあ見ろ。そんな非常識な注文を出す方がいけない。その他、使わないときは電源を消すこと、とか最短プログラムのみ使うことと言った、人を馬鹿にしたような内容が記載されていた。

私は即反論した。おまえらの自分勝手な要求に従って、「安い」という理由のためだけに妙な時間に洗濯機を使わざるを得なかったこと、低性能なヨーロッパの洗濯機を普通に使うと私の天然素材の服を傷めること、電源を付けっ放しにするほど、私はおまえらの考えているように愚鈍ではないことを説明した。(もちろん言葉は選んだ)

それに対して大家は人事のように、
「でも、近所から苦情が出たからには仕方がない。電気代が多少掛かっても、平日の昼間に使うより他ない。」
と。どうせ、その苦情に応える際、
「うちに住んでいるのは外国人なので常識が分からないんです。注意しておきます。」
とすべてを人のせいにしたのだろう。

土日には朝から晩まで大家一家は一週間分の洗濯をしていた。それほど溜めるとかえって非効率だと思う。その後、汚れのついた下着が台所に落ちていることが何回かあったが、それ以外に洗濯機をめぐる大きな問題は起こらなかった。私のひそかな報復として彼らが電源を消し忘れた日には、彼らが気づくまで放って置いた。そして、自分で料理を作る時はじっくりと丁寧に火加減を見て、テレビはBGM代わりに付け、シャワーは気が済むまで浴びるなど、できる限り彼らに「質素な」収入を提供するように努めた。

かわいそうな大家一家。夫婦の生業である語学教師などオランダではたいした稼ぎにならないのだろう。
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